『ワーニャ伯父さん』上演にあたって

チェーホフ四大劇のひとつ、『ワーニャ伯父さん』。
その世界は一見物静かに見えてその実、尋常でない迫力と緊張感に満ちてます。
20代の頃からずっと、いつかこの戯曲と向き合ってみたいと思い続けてきました。
そして歳月を重ね、今、満を持しての初挑戦
チェーホフ独特の静劇の奥に、
丁寧に巧妙に埋め込まれた人間の獰猛(どうもう)さや理不尽さ、苛烈さを、
稽古場でいったんグイッと引っこ抜いてザーッと広げて吟味して、そして再び埋め込んでいきたい。

丁寧に。
繊細に。

でも、
おそらく、
いったんザーッ!と広げたものはキレイに元通りには埋め込めない、戻せないと思います。
だって慎重かつ巧妙に隠されていたものをザーッと、ザザーーッ!と出してしまうのだから。
それらがおとなしく元に戻ってくれるとは思えません。
きっと凸凹する、元の位置から少しズレる、ひょっとしたら飛び出てたりする。
でも、そこ!
そのなんとも納まらないハミ出してしまう部分こそが、今回の『ワーニャ伯父さん』の面白さになると私は確信しています。
「あれ、 チェーホフってこんな感じだったっけか?」
バングラ版『ワーニャ伯父さん』は、そんな作品になります。
乞うご期待!

三村聡

バングラ BHANGRA

三村聡による演劇ユニット。

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