電車の中で考えてみた

7月のある日、稽古場に向かう電車の中で考えごとをしていた。

この日はなぜか目が冴えていて頭もクリアだった。乗客も少なく座席に座っていた。とてもリラックスしていた。考えごとがひと段落するとぼーっとしたりした。

ふと、マクベスの登場人物達のことを思い出す。

彼らもこんな感じにぼーっとしたりしたのだろうか?

いやいや、マクベスはもちろんマルカムだってリラックスできる時は殆ど無かっただろうなぁ。少なくともテキストで描かれている期間は。ギリギリだったんだろうなぁ。

生きるか死ぬか。殺るか殺られるか。

マクベスは自身の眠りを殺し狂っていく、マクダフは妻と息子を殺され、マルカムも父親を殺され他国に亡命することになったし、マクベス夫人は自殺した。

こうしてみると、なんとハードなお話なのだろうか。確かに悲劇だ。

ただ、悲劇を悲劇としてやってしまうとなんかもったいない。

バングラの「マクベス」は悲劇らしさが一見ない。が、観続けるとだんだん、ジワジワと「あぁ悲劇だわ」となる。

いわば【遅効性悲劇】だと思う。

どう遅効性なのかは是非劇場で確かめてくださいませ!

と、ここまで電車の中でWALKMANを聴きながら書いているのだけれど、

たまたま僕の大好きな村下孝蔵さんの

「北斗七星」という曲が流れる。

途中の「君のぬくもりと、僕のぬくもりが打ち消しあってなぜか冷たい」という歌詞が妙に頭に残る。

いや、マクベスとマクベス夫人らしいなぁと思いまして。

佐々木 啓

バングラ BHANGRA

三村聡による演劇ユニット。

0コメント

  • 1000 / 1000