バングラはなぜ、豊岡演劇祭2023参加作品に『習作・チェーホフのかもめ』を選んだのか。
こちらのブログでの投稿、大変、非常に、ものすごくご無沙汰しておりました!
バングラ主宰の三村です。
この度、豊岡演劇祭2023 フリンジ【セレクション】に参加することになりました。
演目は、2021年2月の緊急事態宣言下に池袋のスタジオ空洞にて上演した『習作・チェーホフのかもめ』です。
何故、この作品にしたのか。
それはとても明快な理由で、
【たくさんの方にこの作品を観ていただきたい。】
と強く思ったからであり、
【たくさんの方に観てもらいたいと心底思えるほど、この作品は面白い。】
と感じているからです。
この『習作・チェーホフのかもめ』は、
初演時には上演にこぎつけるまでにたくさんの苦難を経験しました。
元々は2020年の3月・4月で上演予定だったのですが、公演直前、新型コロナウイルスによって大混乱となった世の中で、とうとう公演延期という苦渋の選択をせざるを得なくなりました。
延期決定直後に第一回目の緊急事態宣言が発令され、先の見えない公演延期の虚脱感の中で、一台の車も一人の通行人もいない道路を呆然と眺めていた記憶があります。
それでも、この作品はいつか必ずやるんだという怒りにも似た決意の中で日々を過ごし、ようやく世の中が落ち着きを取り戻してきた2020年の夏に、半年後の『習作・チェーホフのかもめ』の上演を決定。
キャスト、スタッフ共に延期前と全く同じフルメンバーでの布陣の中で意欲に燃えておりました。
しかし寒くなるにつれて新型コロナウイルス感染者数は再び増加し、結局は前回以上の厳戒態勢の中での創作・稽古、そして最終的には緊急事態宣言発令下での、やはり厳戒態勢での上演の「決行」という険しい道を辿ることとなりました。
その時の客席数は通常の半分以下。
密を避けて楽屋を作らず、開場・開演前からキャスト陣は客席の横や後ろに離れて待機しながらお客様をお迎えしました。
マスクは開演直前に外し、
終演後の面会は無く、カーテンコール後の舞台上からのお見送りでした。
お客様が、遠かった。
しかし、
そんな状況でありながら、
上演中の、作品の中を生きる感触には確かな手応えがあり、
観劇中や観劇後の、お客様からの反応にも更なる確かな手応えがありました。
不思議なもので、あれだけ創作・稽古の現場において演劇に必要な要素を削り取られながら、出来上がった作品には、演劇的な豊潤さと芳醇さが満ち満ちているように感じられたのです。
本当に不思議です。
毎回ほぼ満席だったとは言え、客席数には大きな制限がかかっていたため限られた人数の方にしか観ていただけておりません。
もっとたくさんの方に観ていただきたい!
そしてどうせ再演するならば更にブラッシュアップされた『かもめ』にしたい!
延期直後から「必ず上演するのだ。」と燃えていた執念と同じくらいのエネルギーで、『習作・チェーホフのかもめ』の再演の機会を虎視眈々と狙っておりました。
そんな中で昨年、豊岡演劇祭2022での演劇人コンクール 最終上演審査にて、『マクベス』で優秀演出家賞を受賞。
そして今年、豊岡演劇祭2023開催。
ここだ!
ここで『習作・チェーホフのかもめ』だ。
私の中では、強く必然を感じております。
是非、
豊岡の地で、
このタイミングで、
『習作・チェーホフのかもめ』を
バングラ版チェーホフの『かもめ』を、
目撃していただきたいと願っております。
豊岡演劇祭2023フリンジ【セレクション】参加作品
『習作・チェーホフのかもめ』
9月、豊岡はワークピア日高にて、ご来場を心よりお待ちしております。
三村聡
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